『紫』
制作について
大作展示ということで、普段の制作よりも自由度が高いため、自分の制作についての研究をねらいとした。 将来何かを制作していく人間になると何か依頼を戴くことがあると思う。 誰でもよかったら公募でもなんでもすればいいわけだから、名指しで依頼された時には私への需要が生まれる。 そういった需要を自ら知り、何を求められているのかを考えることによって自主制作にも役立つはずであると考えた。 今回は3人のそれぞれ自分との関わり方が違う人に協力していただき、関係性と需要について研究しようとした。
『紫』について
- 関係性:赤の他人 30-40代
急に質問するとさすがに戸惑った様子だったが、具体的なものではなくてお好きなものでもいいですと言うと、『紫』という題をくれた。
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初めは赤と青から構成されるものとして分解して考えてみようと思ったが、なかなか一つの作品として決まらなかった。
鉱 石にも興味があり、アメシストという、紫といえばの宝石について科学的なことも調べてみた。アメシストは二酸化ケイ素からできており、通常の水晶と呼ばれ るような石英と同じであるが、放射能などの影響により一部のケイ素の隙間が鉄イオンで埋められることにより紫色の発色が起こる…など。
紫の見える仕組みや、紫のメンバーカラーなどについても調べた。
そのうちに、紫について調べたメモなどが増えてきた。それを眺めていると、紫が自分を振り回していると思い始め、このメモたちは、全てがそれぞれの紫を表現しているということに気づいた。そしてこれらを積層することによって自分の思考というものを表現した。
▲紫が見えるのは、紫以外の色が吸収され、紫のみが反射するからということから。
▲紫について考えたメモたち(の一部)。普段の製作と同じく落描きも混じっている!